2006年度から当校では「新サイエンスプログラム」と題して,「リテラシー」をキーワードとする全校あげての研究開発を行なっている。国語科では従前から,教科の指導内容そのものが「リテラシー」育成を目指すものであるが,この機会に改めて「リテラシー」という考え方を軸にして授業を構成してみた。題材として取り上げる「古典」は,扱い方によっては内容主義や尚古趣味に陥りがちなものであるだけに,むしろ「リテラシー」の本質である「批評」や「相対化」という面を強く意識しておかなければならない。本稿は,古典を読むにあたって,調べ活動や生徒相互の読みの検討という活動を通して,自身の読みを相対化し,読みを作り出してゆく過程を意識するということをめざした授業報告である。
なお本稿は,本紀要における一昨年,昨年からの報告「国語科におけるリテラシーの授業-中学生の古典の授業から-」の続編である。