中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 46 巻
2006-03-20 発行

高等学校における音楽受容の拡大に関する考察 : 音と音楽の認識に関する調査結果をもとに <第2部 教科研究>

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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_46_337.pdf
Abstract
ドイツの音楽科教育では音や響きに対する感受性を高め、適切に音楽作品の価値判断ができることを目標とした教育が行われている。高度情報化が進み価値観が多様化する我が国においても、幅広く音楽を受容することによって複雑な音環境の中から正しい情報を認識し、適切な価値判断を行うことが必要である。そこで、高校生を対象として音や音楽に対する受容や認識方法に関する調査を行った。その結果、「音」と「音楽」を識別する際には、①快適性、②人為性、③美的価値づけ、の3点が大きく関与していることが明らかとなった。これらのことから、さまざまな音を「音楽」として受容できる幅を拡大させ、固定化された美的・文化的価値観によらずに音楽情報を判断し解釈するためには、生徒が未だ出会ったことのない現代音楽や異文化圏の音楽を積極的に取り扱うこと、それらに関する適切な情報を多く与えることの重要性が示唆された