2004年度の高等学校1年生「国語総合」古典分野において、「土佐日記」の授業を実施した。「土佐日記」は、最初の仮名日記として後の和文隆盛の基を築いたものであるが、内容的には和歌と散文の融合や分散する主題など、ねらいの当て方や扱い方によって、多様な授業展開が可能な教材でもある。今回は、高等学校1年生後半の古典学習導入期において、「古典」としての独自性よりも「現代」に通じる共時性に焦点を当てて読み進めてゆくことで、今後の古典学習への望ましい態度を形成することを目指した。学習者は、「土佐日記」の学習を通して、「古典」を「現代」の文化として主体的に読み深めてゆくことができた。