本論では,「持続可能な開発のための教育(ESD)」の概念を整理し,その立場での高等学校地理教育の可能性について検討し明らかにする。「持続可能な開発(SD)」は,世界に共通する理念として,国連の主要な取組みのひとつとして,開発に関する議論を広げたが,その概念は多義的で抽象的であることから様々な拡大解釈を生んできた。「持続可能な開発(SD)」の実現のためには教育が最も重要であり,その理念,学習内容,学習方法についての協議がユネスコを中心として推進されてきた。高等学校の地理は「持続可能な開発(SD)」としての学習内容を多く包含している。その学習方法としては,広い意味での問題解決学習に含まれる探究学習がふさわしいと考える。この意味で,持続可能な開発としての地理学習には可能性が大きい。その視点から教材開発した「地球温暖化」の学習指導案は,それを具体的に提示するものである。