中世という時代,生産においては分業・大量生産,流通においては,安全・迅速・確実をめざすサービス業が発生・発展した。つまり,生産・流通・消費の3つをあわせた経済の仕組みの急速な発展が社会構造の変化を生み出したのである。農民や独立した手工業者の生産品を誰が所得とし,誰がどこに運び消費するのか。モノと貨幣の流れを,それぞれの生産者やサービス提供者の立場から理解し,原始・古代の経済と比較して何がどう変わったのかを考察することを通じて,「中世の生産と流通」を学ぶ。つまり,現代日本の抱える経済的諸問題の分析を通じて,経済社会の変化と発展を考察し,未来の日本のあり方を考えるための前提として,日本の歴史の推移における経済の基本的な仕組みと特質をできるだけ長いスパンで理解できる授業を構成する。