通史的な系統学習を補完するものとされてきた「世界史」主題学習は,99年の学習指導要領の改訂により,学習計画の全体の中で導入部と終結部に位置づけられ,それぞれの位置づけに応じた目標と内容が示された。本稿では,そのうちの「世界史B」の導入部,すなわち「世界史の扉」の教材を開発し,それを教授書の形で提示する。開発した教材は,学習指導要領にも示されているように,「世界史と日本史のつながり」に気づかせ,歴史に対する関心と世界史学習への意欲の喚起をめざすものであるが,さらにもう一つ,世界史学習の事始めとして,「歴史とは何か」について考えさせ,「解釈としての歴史」に気づかせ,〈歴史への真摯さ〉に眼を開かせるきっかけとしたい。