本研究はNICUに入院中の極低出生体重児の母子関係の傾向をとらえ,行われた看護援助について検討することを目的とした.第1回調査の対象は,静岡県内のA総合病院NICUを退院した極低出生体重児と母親9事例およびプライマリーナース9名で,後方視的に半構成インタビューによりデータ収集し,内容を分析した.第2回調査の対象は静岡県内のA,B2つの総合病院NICUに入院中の極低出生体重児と母親12事例で,前方祝的に観察記録用紙を用いてデータ収集し,内容を分析した.この結果,以下のことが明らかになった.1.母親の感情・言動と児へのかかわりは5つのステージに分かれ,修正在胎週数およそ30週前後とおよそ34週以降に2つの転換の時期が認められた.2.各ステージの特徴と必要な看護援助は,ステージI:児をイメージする初回面会前までの時期(母親の心身回復への援助),ステージII:恐れの強い時期(母親の恐れの感情に特に配慮した援助),ステージIII:主体的かかわりの芽生えの時期(母親の育児行為の広がりを支える援助),ステージIV:主体的かかわり・母子相互作用の芽生えの時期(母親の主体的な育児行為を尊重した援助),ステージV:母子相互作用の安定の時期(退院に向けての情報提供と新たな不安の受止)であった.3.全ステージに共通する看護援助は,母親の気持ちに添ってタイミングを計った援助,予期的・予測的な児に関する情報提供,受容的態度を具体的に表す看護婦からの言葉かけであった.