当院NICUでは家庭での事故や緊急時に対応できる教育が必要であると考え,入院した子どもの家族を対象に救急蘇生教室を実施している.本研究の目的は,教室参加者の特徴を知ること,教室前の子どもの心肺蘇生法に関する理解の実態を知ること,教室後のアンケート調査における参加者の反応から,救急蘇生教室の今後の課題を見出すことである.救急蘇生教室では研究グループの医師と看護師が小児に起こりやすい事故と対策,心肺蘇生法の手技の知識を提供し,人形を用いた実技講習を行っている.研究対象は2001年9月~2002年4月に入院した子どもを持つ144家族とした.その中で参加希望のあった42家族(29%)に同意を得,アンケート(回収率100%)を行った.診療録をもとに家族背景について検討し,またアンケート結果から項目毎に集計を行い,またχ2検定及び同等性の検定を用い,以下の結果が得られた.1)低出生体重児で入院日数が28日以上の子どもを持つ家族の参加が多かった.2)参加した母親の年齢,母児同室の有無,育児協力者の有無に有意差は無かった.3)参加前の心肺蘇生に関する知識は少なかった.4)参加者の多くが心肺蘇生法の必要性を重視していた.5)教室後再参加を希望する家族が多かった.小児の心肺蘇生手技習得の場は少なく我々小児医療に携わるものが,教育の場を提供していく必要がある.今後,教室の受講対象を広げた上で充実した教室運営と退院後も繰り返し受訴できるようなシステムづくりが今後の課題である.