出産に伴う心的外傷後ストレスの出現状況を明らかにするために,ハイリスク新生児の母親189名と健常新生児の母親274名を対象に,改訂版出来事インパクト尺度(IES-R)を用い,出産後1か月に質問紙調査を実施した.その結果,次のことが明らかになった. 1.母親のIES-Rの平均得点はNICU入院児の母親12.04(SD=10.06),健常新生児の母親9.12(SD=8.89)で,NICU入院児の母親の方が有意に高く,PTSDハイリスクであるIES-R得点25点以上の母親は,NICU入院児の母親13.2%,健常新生児の母親5.1%で,NICU入院児の母親が有意に高率であり,対象全体では8.4%であった. 2.再体験,覚醒亢進症状の出現があった母親は両群ともにそれぞれ80~90%程度であった.回避症状の出現についてはNICU入院児の母親64.0%,健常新生児の母親44.5%で,健常新生児の母親よりもNICU入院児の母親が有意に高率で,平均得点もNICU入院児の母親の方が有意に高かったが,24点以下の両母親の比較ではNICU入院児の母親の方が有意に高く,25点以上の両母親においては,健常新生児の母親の方が有意に高かった.