本研究では歩行での蹴り出し動作とカーフレイズ動作について,長腓骨筋,後脛骨筋の筋活動に関連があるかを明らかにすることを目的としている.対象は健常成人23名(男性5名,女性18名,年齢22.1±1.4歳)とし,表面筋電図を用いて歩行時,カーフレイズ動作時の長腓骨筋と後脛骨筋の筋活動を検討した. その結果,長腓骨筋の筋活動,そして長腓骨筋と後脛骨筋の筋活動比について,歩行立脚期蹴り出し直前の足関節底屈動作時とカーフレイズ動作時との間にのみ有意な相関関係が認められた.歩行中の足関節底屈動作時に,長腓骨筋の活動が大きい程,そして後脛骨筋に対する長腓骨筋の活動の割合が大きい対象程,カーフレイズ時においても長腓骨筋の活動が大きく,長腓骨筋の活動の割合が大きい,すなわち優位であることがわかった.このように歩行中の足関節底屈動作とカーフレイズ動作での筋活動に有意な相関が認められたことから,足部への最大荷重点についてもこの二つの動作で関連が予想されるため,今後は足底圧分布についても検討する必要がある.