片側大腿切断者の立位姿勢制御の特徴を明らかにする目的で,社会的活動レベルにある片側大腿切断者6名を対象に,静止立位と計算課題を同時に行った場合の姿勢制御について足圧中心点の変位を指標に検討した.事前に光刺激による反応時間を測定し計算課題が注意を分散させ得る課題であること確認した.足圧中心点の測定は,静止立位で10秒間行い,総軌跡長,矩形面積,健患位置,前後位置を算出し,健常者との比較,計算課題の有無による比較を行った.その結果,片側大腿切断者は健常者より総軌跡長,矩形面積が有意に大きかったが,両者とも二重課題の影響は受けなかった.また,片側大腿切断者は静止立位時足圧中心点が健側へ偏倚しており,二重課題時はさらに健側へ偏倚させる方略で姿勢制御していた.ソケットの違いによる比較では,坐骨収納型ソケットより四辺形ソケット使用者の方が安定する傾向にあった.