地域の「まちづくり」の分野において, 行政, 市民, 企業及びNPO等様々な地域社会のセクターが対等で平等な関係を築き, それぞれの組織の特徴と役割を活かしながら活動する「協働」による取組みが活発化している。
本稿においては, 複数のセクターから構成される連携形態のもとで, 参加主体の協調による, 各々の資源の動員によって当該地域社会の問題解決に寄与する状況を「地域協働」と定義し,
①実際に地域協働の取り組みがどのような活動の下で生起するのか, ②地域協働を促す組織体制には, どのような差異があるのか, ③地域協働を促す要因として何が重要なのか,
という問題意識を設定した。
そして, 都市の郊外拡散や大型小売店の出店等により衰退の著しい中心市街地の再生に向けて組織される「中心市街地活性化協議会」の活動に着目し, アンケート調査を実施した。その結果, 地域協働による活動を促すためには, 単に組織を形成するのみならず, 構成員間のコーディネート機能を生成する活動パターンの位置づけ, 構成員間の連携に必要となる人材の配置が重要となることを抽出した。さらに, 地域協働による活動を促すための要因や必要な要素として, 「危機感」, 「リーダーシップ」, 「ビジョンの有無」等が重要であることが浮き彫りとなった。