本稿は, 日本公認会計士協会が1999年に公表した監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」をめぐって, おもに建設業において問題となる債務保証および保証類似行為について考察している。この監査委員会報告を中心にして, 債務保証等の範囲と定義, および, 債務保証損失引当金と注記表示をめぐる会計規定を紹介し, その問題点を検討している。そして, 保証主体と保証客体との関係を, 親会社・子会社という関係と購買者・販売者という関係に分け, それぞれの関係における負債性の認識とその背景を論じている。さらにわが国における債務保証に関係した制度を紹介したうえで, それぞれの制度における経済的意義と会計的問題を考察している。