中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 58 巻
2018-03-31 発行

高等学校物理教育の目標と教師の教育観の変遷 : 昭和30年代以降の学習指導要領改訂毎の時代区分による分析 <第2部 教科研究>

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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_58_180.pdf
Abstract
本研究は,教師の教育観,とりわけ物理教育の目的・目標に焦点をあてて,時代変遷や時代毎の特徴を明らかにしていくことを目的とした.はじめに学習指導要領にみられた理科教育の目的・目標の変遷を分析した後,日本物理教育学会の機関誌にみられた教師の教育観を文献調査した.
学習指導要領では物理教育の目標として4つの用語(「科学的な自然観」,「探究」,「科学的な考え方」と「基本的な概念,原理,法則」)が時代によらず用いられていた.また自然観と探究の用語は.時代や社会にあわせて意味が変化していると考えられた.本研究の調査では,教師が主眼においていた指導目標は,学習指導要領の改訂如何に関わらず,「(履修している)すべての生徒に物理を理解させること」にあった.また物理が必修科目として設定されて履修状況が高いときには,如何に知識(概念)を伝えるか,選択科目として履修状況が低いときには,思考や教育的価値観などに目的・目標を置く傾向がみられた.本研究では,履修方法(必修科目・選択科目)による生徒の状況の違いが教師の教育観にも影響を与える傾向がみられることが明らかになった.
内容記述
本研究はJSPS科研費 JP16H00173(高等学校物理の指導目標の変遷と教材の扱い方に関する基礎研究)の助成を受けて実施したものである.