感染症の原因となる病原体の多くは, 目に見えず存在が実感できないものである。しかし,それらは人間とともに生物界の一員として生態系の中で共存しているという視点を持つことで,耐性菌の間題や新興感染症• 再興感染症の間題の根本がより理解できると考える。そうした共存関係を理解させるために,私たちの周りに存在する細菌を採集して培養する実験をおこなって,その結果から「感染症と人間の関係」についてお互いに意見を出し合いながら考えを深めていく授業を構成し実施した。生徒は,積極的に実験に取り組み,「感染症と人間の関係」について考えを深め,「細菌との共生」「免疫力の向上」「生活習慣の重要性」といったキーワードをつかってそれぞれの考えを述べており,感染症を防ぐための行動選択や意思決定につながる授業であったと考える。