テキストの「読み」の対象を,テキストの開く「問題領域」(テキストの問いかけ)とテキストの「見方・考え方」(テキストの呼びかけ)との2つに区分し,学習者にその2つを区分する「構え」を身につけさせることをねらいとした授業の中で,いくつかの課題が見えてきた。その一つが,学習者の読み方の問題である。理解の難しいテキストに出会ったとき,学習者はテキストの〈語り〉を無視して,自分の主体化している観念で読んでしまう。では,国語科授業においていかにしてその問題を解決していくことができるか。本稿では, 2015年度1学期に,中学1年生122名を対象に行った学習の実践を報告する。