中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 48 巻
2008-03-20 発行

「持続可能な開発の教育(ESD)」としての高等学校における地理授業開発 : 「大井川のダム開発」の学習指導案 <第2部 教科研究>

和田 文雄
全文
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Fukuyama-ChutoKyoiku-KenkyuKiyo_48_197.pdf
Abstract
「持続可能な開発」は今日,すべての人が共有すべき普遍的な価値観であり,それを実現するための教育がいま求められている。学校教育において地理学習は「持続可能な開発」の教育として重要な位置付けがなされている。「持続可能な開発」の教育としての地理教育の実践は地理教育改善の契機でもある。本稿ではその具体的な試みとして高等学校地理Aの「地球的課題の地理的考察」の「世界の水間題」の単元開発をおこない,その中心となる「大井川のダム開発」の学習指導案を提示する。「世界の水問題」は「持続可能な開発」の重要な学習内容である。日本のダム開発の典型例である大井川のダム開発の要因とその影響についての地理的考察は発展途上国におけるその「持続可能な開発」を考えるてがかりとなる。「持続可能な開発」の教育は,その学習方法として学習者による主体的な探求学習を重視する。本授業開発はそのための,教師による探究過程を授業の形で示す指導法の提案である。