主体的に社会問題を解決できる能力・態度を育成し,人間としての在り方・生き方について考える力の基礎を養うことを,公民科の目的とすべきだとされる。本稿では,この目的を実現し,学ぶ意味を見いだしやすくするために,いかなる視点で授業づくりを行えばよいのかを考察する。①現代社会の授業で扱う事柄を,社会問題として学ぶことや,②社会の仕組みを様々な可能性のなかから選択されたものであると見なし,③現代社会の仕組みを「所与のもの」とせず,固定化しないことが必要である。これら三つの視点によって,自分の考え方を提示し,批判し,自らがよりよいと考える選択肢を根拠を持って選ぶことのできる能力を育成しやすくなるだろう。
本稿では以上のことをふまえ,財政赤字・累積債務問題を取り扱った学習指導案を開発する。