本研究では、重度視覚障害児童生徒に対する漢字指導の目標設定を行う上で有用となる知見を整理することを目的とし、音声装置等を用いてパソコン等を使っている重度視覚障害者31名に対して電子メールによる調査を実施した。調査の結果から、重度視覚障害児童生徒に対する漢字指導の当面の目標として、使用頻度の高い1000文字程度の漢字の音訓及び用例が理解できるようにすることが効率的であることが示唆された。指導の際の留意点としては.①パソコン等を用いて漢字仮名交じり文を入力し、その文章を他者が添削するといった指導形態を積極的に取り入れていくこと、②重度視覚障害児童生徒にとってとらえにくい情報を補い、充実した言語環境を整えること、③パソコン等の使用方法等をあわせた包括的な指導を行うことが挙げられた。