これまでの研究では幼稚園・保育所における視覚障害幼児の仲間との係わりや集団遊びなどには十分に視点があてられていないため、視覚障害幼児と晴眼幼児の係わりにおける指導者の配慮・支援の方法や内容が具体的に言及されていないのが現状である。本研究では2名の育児を対象として幼稚園・保育所での自由遊び場面を観察し、視覚障害幼児の仲間入り行動の成否と仲間入り行動のストラテジーとその有効性について検討を行った。その結果、視覚障害幼児においても晴眼幼児とほぼ同じような仲間入りのタクティクスの使用が確認された。また先行研究と同様に、「いれて」などの儀式的なタクティクスが仲間入りにおいて効果的であった。一方で、視覚障害児は遊びの状況を見て把握することができないため、「同調行動」や「同調発言」が必ずしも有効に働かなかった。その場合は、拒否されない程度の「接触」や「同調」を繰り返しながら遊びの状況を把握していると考える。