本研究は,NICUに入院している低出生体重児の母親が感じているストレスの特徴を明らかにすること,そしてその低出生体重児の母親が行っているストレスに対する対処方法を明らかにすることを目的とした.対象は,東京都内A病院NICUに入院し全身状態の安定している低出生体重児の母親9名であった.子どもの様子・親役割の変化・スタッフの行動・NICUの環境に関する母親のストレス,ストレスに対して母親が行った対処行動,母親の年齢や妊娠経過などの家族背景に関しての質問紙調査を行い,データを収集した.この結果より以下の事が明らかになった.1)NICUに入院している低出生体重児の母親は「子どもが早く生まれてしまったこと」,「子どもが小さかったこと」,「体にたくさんの器械がついていたこと」などといった子どもの様子や,「子どもを抱くことができなかったこと」「子どものそばにいることができなかったこと」といった親役割の変化にストレスを感じていた.2)母親のストレスに子どもの状態は大きな影響を及ぼしていていなかった.3)ストレスを感じたとき,全ての母親は「誰かに相談する」「必ず看護婦に話を聞く」「できる限り面会に行く」「面会の時,子どもに触る」といった積極的な行動をして,そのストレスに対処していた.4)最もストレスを感じていた母親は,情動志向的対処行動を含む多くの対処を行っていた.5)母親がストレスを感じたとき最も相談をしていた相手は夫や看護婦,医師,母親の両親であった.