本研究の目的は,採血に対する早期産児の行動的反応と生理学的反応および児の発達に伴う反応の変化を明らかにし,採血時の早期産児への看護介入について検討することであった.在胎24~30過で出生した早期産児7名に対して,採血場面の観察を1~2週間ごとに,児が修正37~40週になるまで継続して行い,呼吸心拍モニターとビデオ録画により表情反応,自己鎮静行動,睡眠覚醒状態(state),心拍数,血中酸素飽和度(SpO2)についてデータを収集した.得られた結論は次の通りであった.1.採血を受ける早期産児は,処置中に眉を隆起させる,目を強く閉じる,鼻唇溝が深くなる,の表情反応を示し,穿刺直後にはこの3つが同時に生じる傾向があった.また,処置中にもかかわらず表情反応が出現しない場合,在胎週数が短い,修正退数が早い,低酸素状態,自己鎮静行動をとっている,などの要因が考えられた.2.早期産児は,処置中であっても深睡眠の状態になることがあり,それには児が自ら刺激を遮断している場面や,自己鎮静行動を伴う場面,低酸素を伴う場面があった.3.早期産児は,採血の刺激に対して自己鎮静行動をとることができ,自己鎮静行動によって睡眠覚醒状態が睡眠の方向へ移行するが,早期産児に必要とされる深睡眠の状態は,児が自らとる自己鎮静行動だけでは得ることが難しいと考えられた.4.示唆された早期産児の採血時における看護介入は,早期産児が痛みの知覚を持つと認識した上で児を観察し,微細な反応を確実にとらえること,環境からの刺激や採血による刺激をできる限り減少させること,児の自己鎮静行動を促進すること,であった.