【目的】新生児集中治療室(以下, NICU)の看護師のファミリーセンタードケア(Family-Centered Care: 以下, FCC)の概念に基づいた看護実践とFCCに関する信念, および関連要因を明らかにすることを目的とした.
【方法】関東圏内のNICU30施設を対象とし, 各施設の看護師長30名に「病棟の理念・方針・環境に関する質問紙」, 看護師計900名に「FCCの実践と信念に関する質問紙」を配布し, 量的横断的調査を実施した. FCCの実践と信念の測定には, Rosenbaumらが開発したFCC実践尺度(MPOC-SP)とFCC信念尺度(MBP-FCS)を翻訳し, 使用した.
【結果】看護師長対象の質問紙は30部すべて回収できた. 看護師対象の質問紙の回収率は81.6%, 有効回答数N=710, 看護師の平均年齢は30.3±6.8歳, 平均臨床経験年数は8.9±6.6年, NICUでの平均臨床経験年数は4.8±3.7年であった. FCC実践得点の看護師全体の傾向としては, 対人関係に関する行動の得点は高かったが, 情報提供に関連した行動の得点は低かった. また, 一元配置分散分析およびt検定の結果, FCCの実践および信念は, 対象者の年齢・臨床経験年数・教育背景・役職の有無に有意な関連があった.
【結論】FCCの理念に基づく看護を実践するためには, 看護師の情報提供者としての役割認識を強化し, FCC実践に対する自己効力を高めるような教育, FCCの実践の組織的な方向づけや支援, 環境づくりが重要である.