本研究は,NICU退院児の育児支援のための訪問看護の施行結果を通して,訪問看護実践と母親に生じた変化との関連を明らかにし,育児支援型の訪問看護活動の発展に寄与することを目的とした.対象は,研究協力への承諾が得られた,NICUへ入院していた子どもをもつ母親8名と,その子どもの担当訪問看護師6名とした.情報収集は,半構成型面接調査および訪問記録からとした.面接内容は,母親には訪問看護についての体験内容や思い,訪問看護師には実施した看護実践内容や認識とし,分析は要約的内容分析によって行った.分析の結果,訪問看護実践は7項目,母親に生じた変化は4項目に分類できた.母親は,家庭で,退院直後から,定期的に,24時間いつでも同じ専門家に気兼ねなく相談でき,かつ,それが継続して行われる訪問看護実践によって育児能力を獲得していた.また,すべての訪問看護実践は母親に精神的安定をもたらしていた.母親の育児負担は,家庭で行われる訪問看護により軽減されていた.さらに多胎児の母親は定期的に行われる訪問看護により,生活時間の配分ができるようになっていた.母親に生じた変化は,これまでのNICUでの電話相談や外来受診での対応や保健所保健師の活動では生じなかったことであり,24の訪問看護を実施することで,家庭生活への円滑な適応を促すことができたと考えられた.また,地域における連携を積極的に進めるうえで訪問看護師としての課題が明らかになった.