学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

学び合いを通して気付きの質を高める生活科の授業構成

A study on awareness through cooperative learning in lessons of Living Environment Studies
樽谷 秀幸
二井岡 直文
全文
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AnnEducRes_40_219.pdf
Abstract
「気付きの質を高めること」は,新学習指導要領における生活科の最重要課題の一つである。一方,学び合いは,学校における学習の特性として重要な役割を担うものである。本研究は,どのような学び合いが気付きの質をどう高めるかについて,実践事例を通して考察することを目的とする。先行研究を踏まえ,学び合いと気付きの質の高まりの関係を,2つの場面において検討した。その結果,以下の点が確かめられたり明らかになったりした。具体的な活動や体験の場面において学び合いを成立させるためには,適度な困難性のある学習材の設定,言葉かけや具体物などの使用による問題や目的の焦点化,かかわりが生まれる学習環境づくりなどが有効であること。話し合いの場面においては,多様な気付きに出合ったりそれらを検討したりするような学び合いを通して,気付きの意味が多面的となったり複数の気付きが関連付いたりするなど,質的な高まりが見られること。一方,生活科の特性に応じた学習過程における学び合いの位置づけ,学習材の選定や学習過程の構成における教師の指導性と児童の主体性との関係については,さらに研究を進めていく必要がある。