学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

食育ぬりえ絵本の製作と登場する調理の実習を関連させた家庭科学習の効果 : 高等学校「家庭基礎」の場合

Effect of High School Homemaking Learning that Associated the Production of Picture Books for Shokuiku and Training of Cooking
佐藤 敦子
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Abstract
食育は社会的・教育的に要求されている緊急の課題の一つである。しかし,多方面にわたる実践の積み重ねは着々となされているにもかかわらず,実際の教育的効果については十分に明らかにされているとは言い難い。そこで本研究においては,アメリカで市販されているM. ウエリングトン原作の食育ぬりえ絵本に着目し,これを原型とした自作のぬりえ絵本の製作と関連の調理実習を組み込んだ「家庭基礎」の食生活領域の授業を構想・実施し,その効果を検証することにした。本報告での授業は,附属福山高等学校で実施したものである。まず1年生1クラスを対象として,生徒をグループに分け,5種類の食育ぬりえ絵本から,取り組む絵本を選択させた。選択した絵本のテーマ(「ピザ」「カップケーキ」など5種類)について簡単な調べ活動を実施させるとともに,テーマと関連した調理を自由献立として作らせ,お話に反映させた。このようなぬりえ絵本を製作した生徒たちは,「ももやま保育園」での幼児観察実習の際にこれを持参し,園児達に読み聞かせを行った。さらに生徒相互の読み聞かせをクラスで実施した。各種のアンケート調査から,この授業が高い効果をあげたことが示された。