学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

中学校技術・家庭 家庭分野における衣生活文化の題材開発 : 浴衣の着装体験による効果の検証

An approach about subject matter of clothing life culture in Junior high school home economics field : Verification of the effects by experience of wearing Yukata
一色 玲子
谷原 千代
全文
794 KB
AnnEducRes_40_147.pdf
Abstract
中学校新学習指導要領技術・家庭,家庭分野では,浴衣など和服について調べたり着用したりするなどして,和服と洋服の構成や着方の違いに気付かせたり,衣文化に関心をもたせたりするなど,和服の基本的な着装を扱うことが有効な手だてとなり得ることが述べられている。甚平製作が衣生活文化の題材として有意義であるという昨年の成果をふまえ,本研究では浴衣の着装体験を通して,和服と洋服の違いや近年の衣生活の変化を理解し,衣生活を豊かにするための工夫ができるような衣生活文化の題材開発を行い,その効果を検証した。本題材は,広島大学附属三原中学校にて平成23年度中学3年生を対象として行った。その結果,浴衣の着装体験を通じて,和服と洋服の違いや衣生活の歴史と現状を実感的に理解し,そのことによって衣生活文化に対する意識に変容がみられることが明らかとなった。特にこの着装体験授業では,ショートパンツの製作活動との関連付けを行ったことが,生徒たちの意識の変容に効果的であったと考えられる。今後の課題として,製作活動と着装体験によって得た刺激と,自分の生活知をつなげて,とらえなおす実感的な学びを得る場を持たせた題材展開を目指したい。