学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

小学校家庭科における知的活動の基盤づくりと生活への感性を育む言語活動の検討

Investigation of linguistic process in home economics of elementary school to develop intellectual base and fertile sensitivity of a life.
森下 友紀
行友 圭子
高畑 律子
全文
589 KB
AnnEducRes_40_159.pdf
Abstract
新学習指導要領の総則では,思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,各教科を貫いて児童の言語活動を充実させることの重要性が示された。家庭科教育の目的を「生活実践力」の育成ととらえ,本報では,小学校家庭科における目標の実現のために,言語が果たす役割を踏まえて言語活動を検討して授業を構想し,その実践と成果について報告した。初めに,「知的活動の基盤としての言語活動」として,①衣食住の知識や技能に関する言葉を実感を伴って理解する活動,②生活の課題を解決するために習得した科学的な知識や技能を基に考えたり説明したりする活動,③生活の中の様々な情報を収集し,適切に読み取り判断する活動(情報活用能力の育成),「生活への感性を育む言語活動」として,④生活に関する事柄や感覚を豊かな言語で表現する活動,⑤家族との対話的なコミュニケーション活動,といった5つの言語活動を挙げた。この内,③と④の2つの言語活動を柱とした授業実践を行い,言語を用いることで,児童にとって無意識であった日常生活を改めて客観的に認識することができ,生活の科学性を理解したり,価値あるものとしてよさに気づいたりすることができることがわかった。