コイ血漿リポ蛋白質の電気泳動的挙動に及ぼす脂質の影響をin vitroで検討し,以下の結果を得た。
1) 血漿リポ蛋白質は添加した脂質を取り込み,易動度が変化する。リポ蛋白質の脂質との結合量および易動度の変化は添加した脂質の種類により異なる。易動度を変化させる脂質として脂肪酸が最も影響が大きく,そのうち特に不飽和脂肪酸が効果的であり,易動度の著しい増加とリポ蛋白質のサブバンドを生じる。
2) コイ血漿アルブミンはリポ蛋白質の一種であり,添加した脂質を優先的に取り込み,その易動度の増加は著しい。
3) コイ血漿リポ蛋白質の電気泳動的多型現象の一因として,補欠分子族又は運搬物としての脂質の組成のちがいが考えられる。