7種の海産緑藻のエキスの遊離アミノ酸組成を調べた。その結果,アナアオサ(Ulva pertusa)にジペプチッド,L-arginyl-L-glutamineが著量に存在することを認めた。このペプチッドはイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーにより単離され,加水分解生成物の同定および合成によりその構造が確認された。アナアオサではL-arginyl-L-glutamineは全エキス窒素の約20%を占め,主成分をなしていた。さらにウスバアオノリ(Enteromorpha linza)にも検出されたが,外の5種には認められなかった。ウスバアオノリではarginyl-glutamineとともにprolineの含量が比較的高かった。この外,アサミドリシオグサ(Cladophora densa)ではglycineとproline,マユハキモ(Chlorodesmis comosa),ハイミル(Codium adhaerens)およびミル(Codium fragile)ではglutamic acidとglutamine,スリコギイワヅタ(Caulerpa racemosa)ではglycineの含量がそれぞれ高かった。
またこれら緑藻におけるアミノスルフォン酸の分布をペーパークロマトグラフィーにより調べた。その結果,taurineを4種の海藻に,D-cysteinolic acidを3種に,N-monomethyltaurineを2種に,homotaurineを1種にそれぞれ検出した。このうちアサミドリシオグサではhomotaurineを分離して確認した。