1. 花紛分析学の手法により赤潮多発水域の一つである福山地先の海域の底泥,海水から渦鞭毛藻類の休眠胞子を検出することを試みた。
2. その結果,田尻港で採取した底泥からは1gあたり約2.5個体,仙酔島の靹水産実験所で採取した海水の沈降物からは海水100lあたり約3個体の休眠胞子が得られた。
3. これらの休眠胞子は,謂わゆるhystrichosphere,游泳体類似の体制を有するものを含め14の形態に分けることができたが,現段階ではこれらのうち一部がGonyaulaxやPeridiniumの休眠胞子であることが解ったのみで,游泳体との関係を充分明確にするには至っていない。
4. 本論文ではこれらの諸形態を,仮に形態I,形態II等として取り扱いその形態的特徴を記載した。