同一の親魚から産卵・ふ化した後期仔魚期および稚魚期のマダイ(全長:6.5-17.3mm)を約100ℓの酸素瓶に閉じ込めて、15.5-16.5℃・暗黒の条件下でその酸素消費量を測定した。1)ほぼ飽和状態に近い濾過海氷(33.4‰)の溶存酸素はマダイの呼吸によって漸次減少するが(最少飽和度:20%)、マダイの酸素消費量はほぼ一定し低下しなかった。酸素飽和度が30%より低下すると、死亡する個体が出現し始めた。2)マダイの酸素消費量(V)は成長に伴って指数関数的に増大し、全長(TL:6.5-17.3mm)に対してV=9.49×10^-3×TL^3.07、体重(W:3.75-74.6mg wet weight)対して V=0.864×W^0.976を示した。このような発育初期における酸素消費量の成長に伴う増加率の値は、より進んだ発育段階について報じられている値に比して高いことが判明した。この違いを、相対成長や内臓諸器官の酸素消費量の相違から考察した。3)単独個体と群個体(密度:20-80fish・ℓ^-1)の酸素消費量を比較すると、単独よりも群でさらに群の構成員が増加するにつれて、個体当たりの酸素消費量も増加する傾向がみられた。このような群効果は、マダイ自身の行動様式と深く関連していることが推察される。