本稿では,日本におけるダイバーシティ・マネジメントの有効性を高めるために必要な研究の方向性を検討した。まず,日米におけるダイバーシティの歴史と現状を整理し,日本のダイバーシティ・マネジメントの課題と研究の分析視点を抽出した。次に本稿における研究の分析視点より欧米と日本における既存研究の比較検討を行った。その結果,①日本の研究において蓄積されてきたダイバーシティが経営成果につながるとする理論モデルを実証すること,②ダイバーシティが経営成果につながる前提を明らかにすること,③研究の対象にするダイバーシティに深層的なダイバーシティを加えること,④ダイバーシティの負の影響について考慮していくことの4つの方向性が得られた。