廣島法學 29 巻 1 号
2005-06-30 発行

修復的司法 : 現今の理論と実践に関する考察(一) : ジョージ,ムスラキス著 <翻訳>

Restorative Justice : Some Reflections on the Contemporary Theory and Practice
荻野 太司
全文
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KJ00004293554.pdf
Abstract
過去10年にわたって、犯罪と非行に対して、いかに考え対応するべきかということについての新しい思考方法が、世界中で広く受け入れられ続け、刑事司法の政策と実践に重大な影響を与えている。犯罪を、本来被害に巻き込まれた個人間の、そして人間関係の紛争であると捉える、修復的司法という考え方が展開しているのである。この司法における手続過程の主要な目的は、加害行為にもとづく被害に対処しながら当事者を和解させようとすることであり、さらにその紛争の解決は、被害者、加害者、双方の積極的な努力と、池域社会の責任の引き受けを要請する。本稿では、修復的司法の広範な原理について概観し、修復的司法と司法において他に広く行われている概念との違いを検討し、さらに修復的司法の実践に必要且つ本質的な要素を明らかにし、論じるものである。本稿はそれゆえ、現今の修復的司法のプログラムを考察し、その起源に関する情報提供を行い、その原理、手続、目的について案内し、そうしたプログラムを発展させ、実施するうえで対処する必要のある多数の論点や懸念事項を明らかにする。
内容記述
ここに訳出するのは、ニュージーランドのオークランド大学ロースクールのジョージ・ムスラキス教授(senior lecturer)による論文(George Mousourakis, Restorative Justice: some reflections on contemporary theory and practice, Journal for Juridical Science 2004:29 [1], pp. 1-27)である。