新しい学習指導要領では,「言語能力」が学習の基盤となる資質・能力の一つとされ,その育成が国語科の本務として取り組まれている。しかし,中教審答申を踏まえた学習指導要領の「言語能力」観は曖昧なものである。そこで本稿では,「言語能力」を小熊英二氏や渡邉雅子氏の論を踏まえて,ある共同体で生成された「枠組み」や「論理」を用いて思考し,表現する能力と捉え直した上で,国語科においてどのように育成できるのか,そして総合的な学習(探究)の時間において育成された力がどう活かされるのかについて考察した。育成や活用の具体は示せなかったが,共同体の「枠組み」や「論理」を「相対化」する視点をもって言語活動を行うことで,国語科においても,総合的な学習(探究)の時間においても活動に深まりをもたせることができると結論づけた。