本研究は,主体的・対話的な深い学びを通して,グローバルコンピテンシーの育成を図る授業についての考察である。深い学びを実現するためには,ある地理的事象を思考し他の事例に応用可能な概念的知識を習得させること(内容面)と,習得した知識を使って判断したり表現したりすること(方法面)の両面からのアプローチが必要となる。そこで,来年度から始まる地理総合の柱にもなる「GIS(地理情報システム)」をテーマに,世界の様々な統計が示されたカルトグラム(変形地図)を用い,その地図と資料集や地図帳に掲載された統計地図を見比べることでグローバルな課題について分析し,その背景や特性を考察する授業を開発し,実践を試みた。授業の構成や様子,この授業によって生徒たちの思考がどのように深まったのか,生徒たちのグローバルコンピテンシーが育成できたのか,その成果と課題を示す。