古文(日本古典)とはまた別の感覚と論理性とによって表されている漢文は,現代日本社会を生きる高校生が多様な思考の軸を獲得するために有効な学習材である。その有効性はもちろん,故事成語や工ピソードなどの知識量だけではなく,彼我の論理の違いを意識した上での批評的な読みによって発揮される。「昔の中国には,とんでもない豪傑がいた」という驚きだけでは思考を深めたことにはならない。その「豪傑」のどのような面をどのように評価しているのか,それをどのように表現しているのかということを読み解くことを通して,生徒たちが現有の基準・思考の軸を更新してゆく契機としたい。