1994年度からの実施を待つ高校地理歴史科「世界史A」は,内容構成において,近現代史重視と前近代史部分における文明史的・同時代史的構成を打ち出して現行「世界史」の年代史的構成を一新し,しかも標準2単位という少ない単位数での実践を求めている。こうした「世界史A」の科目の特質を生かし,生徒達にとって興味のわく意味ある世界史授業実践をめざすならば,実践者には明確な教材構成論に裏打ちされた授業づくりが求められよう。本稿では,上記「世界史A」の実践的課題に応えるために,教材構成の理論的枠組みを「新しい社会史論」と「世界システム論」に求め,「17・18世紀のイギリス社会とアメリカ移民」に関する小単元の開発を行った。