大涅槃経(Mahāparinibbānasutta)1.16–18 においてサーリプッタは、自身が諸仏(阿羅漢)の正等覚に対して絶対的信を抱く根拠はdhammanvaya の理解に基づいていると語る。大涅槃経においてdhammanvaya (=A) という語は、二つの要素(dhamma)の間の論理的関係(anvaya)を表す。すなわち、「阿羅漢であること」と「適切な手段によって正等覚を得た者であること」の間の論理的関係である。一方、法尊重経(Dhammacetiyasutta)においてdhammanvaya (=B) は、「比丘の完全かつ純粋な梵行の実践」と「世尊が有する美質」との間の論理的関係を知る推理知を表す。さらに、大獅子吼経(Mahāsīhanādasutta)においてdhammanvaya (=C) は、「世尊」と「彼の美質」の間の論理的関係を知る推理知を表す。ブッダゴーサ(Buddhaghosa)はdhammanvayaB を、比丘による完全かつ純粋な梵行の実践の直接知覚(dhamma = paccekkhañāṇa)の後に起こる推理知(anvaya = anumāna)という意味で解釈し、dhammanvaya C を、世尊が有する一切智(sabbaññutañāṇa)などの美質(dhamma)について知る認識(anveti = jānāti = anubujjhati)という意味で解釈する。これらのことから、dhammanvaya という語は二つの要素の間の論理的関係、またはその論理的関係を知る推理知を指すこと、さらに、ブッダゴーサによれば美質について知る認識を意味し得ることが明らかとなる。