本研究では, 早産児の痛みのアセスメントがベッドサイドで容易にできるよう, 上部顔面表情運動の定量に基づいたフェース・スケールを開発することを目的とした.
対象者は, 在胎32週未満で出生した早産児10名で, 在胎週数は29.6±1.7週, 出生体重は1,262±238, データ収集時の修正齢は33.1±2.4週, 日齢は23.5±14.6日, 体重は1342±314gであった. 顔面表情, 処置場面, 心拍・呼吸モニターをビデオカメラで撮影・録画し, 顔色は肉眼的に観察し, 顔色の変化や顔面蒼白の出現を記録した.
痛みを伴う処置は栄養チューブ(経口・経鼻)の抜去と挿入, 採血(足底穿刺と手背穿刺の穿刺と搾りとし, 計29場面, 60データを分析対象とした,
上部顔面表情運動の定量は, ビデオ運動解析システム(Dynas 3D/G)を用い, 顔面に貼付した4点(左右の眼窩上縁・その中点・鼻根)から成る面積の最小値(最大顔面表情)を求め, 次に, 安静時をベースとした顔面積変化率をコンピュータで解析した. 上部顔面表情の分類は, 最大顔面表情について, 表情筋の動きによって形成される皺を記述し, 皺形成の共通性から分類した. 皺形成によって分類された上部顔面表情について, 最大顔面積変化率, 対象者の背景との関連を一元配置分散分析によって求め(有意水準5%), 顔面表情をレベル化した. さらに, 先行研究から, 本研究では出現しなかった反応を加え, 5つのレベルのフェイス・スケールを作成することができた.
今後は, 本スケールの信頼生, 妥当性を検証することが課題である.