母乳育児指導が医療保険において医療技術として認められるためには, 指導内容の標準化や効果の証明が必要である. その基礎資料を得る目的で調査を実施した. 調査は, 郵送法による構成型質問紙(一部自由記載)調査とし, 2007年8月1日から2008年3月24日までの期間で実施した. 対象は, 新生児医療連絡会に加入している202施設のNICU看護師長とした. 質問内容は, 施設の背景, NICUに入院した新生児の母親への母乳育児指導(出産後最初に行う指導・母親が退院する際の指導・最初に直母を行う際の指導・新生児が退院する際の指導), NICUにおける母乳育児支援体制, 母乳育児指導料の保険点数化とした. 分析は記述的に行った.
112施設の回答内容を分析した結果, 次の5つの課題が明らかになった. 1)出産後最初に行う指導の時期と内容の検討, 2)直母開始までのケア内容の充実, 3)新生児(乳児)の退院時における母乳栄養率の改善, 4)NICUに入院した新生児の母乳育児のためのガイドラインおよび研修に対する看護者の高いニーズに応える必要性, 5)研修と認定制度の確立. 今後の日本新生児看護学会および日本助産学会の取り組みが重要である.