NICUに入院する早産児や疾病をもつ新生児にとって母乳栄養は様々な利点がある. 子どもにとっては, 栄養学的にみると, 消化・吸収に優れているとともに, 特に早産児を出産した母親の母乳は, 蛋白質, カロリー, ミネラルが多く, より新生児の栄養として理想的である. また, 母乳中には, さまざまな免疫物質が含まれており, 感染予防の点からも優れている. 他, アレルギー発症のリスク軽減や知能や認知面での発達を促すなど, 多くのことが明らかにされている. 同時に, 親子関係の発達を促すことにもつながる.
しかしながらNICUの新生児は, 治療が優先されたり, 母子分離状態を余儀なくされたりする理由から, 母乳育児を継続することが困難な状況にある. そのような中の母乳育児は, 自然に身につくものではなく, 母親自身がその必要性を理解して積極的に取り組み, 医療者が根拠に基づいた教育を提供することが重要となる.
NICUにおける母乳栄養継続のための支援は多岐にわたる. たとえば, 長期にわたって直接授乳が行えない母親への精神的なサポートや, 母乳を継続する意欲を維持できるようなサポートが必要となる. さらに良質かつ均質な支援を提供するためのスタッフ教育, 医師や他職種との協働産科や地域との連携が重要となり看護者の担う役割は大きい.
そこで, 日本新生児看護学会第17回学術集会ワークショップ(2007年11月25日)では, 「母乳栄養を継続するためのケアを考える」というテーマで, どのような支援が重要であるかを参加者と検討した. ここでは, ワークショップでご発表いただいた各施設での母乳育児継続のための具体的な取り組みや, 状況に関する調査結果, 今後の課題についてまとめた.