2005年に個人情報保護に関する法が施行され, 情報に対する社会の関心が集まっている. しかし, 医療関係者には, 古代ギリシアの時代から, 厳しい倫理性が要求され続けてきた, 情報化社会をむかえた現在, あらためて, 情報の意義と倫理の意味を見直し, 情報倫理の歴史的背景をふまえることにより, 看護実践の場における看護情報の倫理性を検討した.
情報は, 単なる「しらせ」ではなく, 意思決定のもととなることから, 活用されることにその意義がある. 情報の機密性や守秘のみを強調していては, 情報の活用度が低下する. それは, 情報の倫理性からみても, 情報の適切なあり方とはいえない. OECDのプライバシー勧告, 情報のセキュリティ, 情報伝達の原則などから, 看護情報の倫理性をみても, 機密性や守秘は一部に過ぎず, むしろ活用を高めるための原則が広く明示されていることがわかる. また, 倫理は, 法律とは異なり, 個人の判断や行動を起こすための規範であるため, 看護情報の取り扱いについては, 個々の看護職がその倫理性を理解した上で, 適切な行動ができることがのぞましいと思われる. そして, 看護職は, 毎日の実践の中で, 多くの情報を取り扱うことから, 常に情報の倫理性を遵守することが必要である.
看護職は, 何よりも情報を保護しながら, 最大限に情報を活用することで, 効果的な看護援助を決定し, 実践することが, 看護情報の倫理性においては, 重要である.