大学新入生は,環境が大きく変化する時期であり,新生活への不安や悩みを抱え,抑うつを呈する学生もみられ,うつ傾向の高さが指摘されている。大学メンタルヘルスにおいては,入学時からのメンタルヘルス対策が必要であり,本学では,新入生の入学時健康診断時に,自記式質問紙を用いた抑うつや希死念慮のスクリーニングを行い,呼び出し面接による重症度評価を行っている。今回,新入生のうつ傾向の実態について調査を行った。毎年,約2%の学生が入学時に抑うつや希死念慮などの徴候を示しており,呼び出し面接の実施数や割合は増加傾向にあった。面接時のメンタルヘルス評価では,比較的軽症の学生が多い傾向であったが,その後の学生生活の中で様々な問題や悩みを抱えて,保健管理センターに相談に訪れる事例も多くみられた。今後も啓発活動や早期の治療導入のために,新入生に対するメンタルヘルス指導のあり方を検討していくことが重要であると思われた。