われわれは,摂食障害から回復した患者の臨床像,精神症状を検討した。対象は,摂食障害から回復し,1年以上よい状態が持続している患者10例(回復群)と治療継続中の摂食障害患者10例(対照群)である。回復群と対照群の,初診時と治療開始1年後のDSM-IV のGAF,EAT,BITE,CISS を比較した。さらに,回復者自身が回復に重要であったととらえている要因について面接調査した。その結果,回復群は,対照群と比較して,ソーシャルサポートを有する者が多かった。また,治療開始1年後で,EAT が有意に低く,GAF が有意に高く,CISS の情緒優先対処の得点が有意に低かった。さらに,回復群は,社会活動,友人のサポート,自己実現の体験,他者から評価される体験が回復に重要であったと述べていた。ソーシャルサポートやストレス対処への介入,社会活動への援助などが摂食障害の回復に重要であると思われた。