本研究は, 看護学生の臨床実習におけるストレスとコーピングおよび性格との関連について検討した. 対象はA大学看護学科3年生の女性28名である. 方法は, ストレスの程度の評価には日本版State Trait Anxiety Inventory (STAI)を, また, コーピングの測定にはコーピング特性簡易尺度(BSCP)を用い, それぞれ実習前と実習中の計2回実施した. 性格の評価は, 矢田部・ギルフォード検査(YG検査)を用いて, 臨床実習のない春期休暇中に実施した. その結果, STAIの状態不安は, 実習前に比べ実習中で高値を示し, 臨床実習で看護学生がストレスを感じていると考えられた. 特に「社会的不適応」, 「劣等感」, 「非協調的」などの性格傾向では, 実習中の状態不安の増強を認めた. また, それらの性格傾向では「他者を巻き込んだ情動発散」などの消極的コーピングスタイルを多用する特徴を認め, 実習ストレスの感じ方やコーピングには, 個々の性格が深く関与することが示唆された.