離島であるA町健康増進計画策定に向け実施された質問紙調査結果を基に, 高齢者男女を前期高齢者, 後期高齢者に分類し, それぞれの時期で, 外出に影響をおよぼす要因を探った. 分析対象は, 前期高齢者127名(男性68名, 女性59名), 後期高齢者140名(男性72名, 女性68名)であった. 分析にはStat View-J5.0統計ソフトを使用し, 目的変数を外出の有無, 説明変数を健康状態(移動方法, 体力への自信, 生活状況), 社会交流(外出に誘ってくれる友人の有無, 外出に誘ってくれる家族の有無, 子どもとの交流の有無)とした多重ロジスティック回帰分析を行った. 男性の外出に影響する要因は, 前期高齢者では, 有意な変数が検出されなかった. 後期高齢者では, 体力への自信(p<0.05), 外出に誘ってくれる友人の有無(p<0.01)が有意であった. 一方, 女性の外出に影響する要因は, 前期高齢者では, 移動方法(p<0.01)が有意であった. 後期高齢者では, 有意な変数が検出されなかった.
本分析により外出を促進する要因が, 男女によって, また, 年齢によって異なっていることが明らかにできた. この結果は, 今後, 介護予防の観点から, 特に離島という隔絶された地域で, 閉じこもりになりそうな高齢者を発見し支援していく上で, 一指標になると考える.