起立負荷時における気分不良の有無と体循環,脳循環との関係について検討することを目的とし,電動チルト台を用いて起立負荷を行った.対象者は20代の自律神経疾患を有さない健常女性12名とし,起立負荷によって気分不良を示さなかった群を正常群とし,示した群を気分不良群とした.電動tilt tableを0°→ 30°→ 45°→ 60°→ 0°と変化させ,各段階を約3分ずつ保持した.その際,平均動脈血圧(MBP),心拍出量,心拍数,1回拍出量,総末梢血管抵抗,腓腹筋内側頭部のTotal Hb,中大脳動脈の平均血流速度(FV)と末梢血管抵抗(PI)を測定し,気分不良尺度を10段階評価でもって記録した.その結果,正常群は起立負荷に伴いFVは低下を示したが,MBP,PIに著変はなく,気分不良群はMBPの上昇に対してPIは減少し,FVはほぼ変化はみられなかった.一般的にめまいなどの気分不良症状は脳血流量の減少により生じるとされていたが,今回の結果では気分不良には脳血流量の増加による脳細動脈へのストレスなどが考えられた.