日本に約30万人いる慢性透析患者の96.7%は血液透析患者で占められており,その多くが栄養状態や運動機能,さらにはQOL(生活の質)の低下をきたしている.我々は,これまで透析日の生活活動を高めることで,患者の栄養状態およびQOLが向上する可能性を明らかにしてきた.しかし,高齢化・透析の長期化により,患者の運動耐容能は低いことが懸念される.そこで,本研究は,ストレッチやマッサージなどの受動運動を中心に,低強度運動療法に対する患者のアドヒアランスが高まるような教育メディアの開発を目的とした.一般的に用いられている教育メディアの種類と特徴を検討した上で,視聴覚教材のDVDを選択・制作した.このDVDは,患者の身体能力や意欲に応じて選択可能な「段階的コース」を用意した.結果として,患者の個別性にあわせたセミオーダーメイドの教育メディアが開発でき,その運用によって患者の自発的な学習を支援することが可能となり,患者のアドヒアランスが高まることが期待される.