腹膜透析治療を開始する患者の家族が治療協力者となる過程とその影響要因を明らかにすることを目的に,腹膜透析治療中の患者と共に暮らし,食事や透析の協力を主に行う家族員11名に半構成的面接を行った.結果,家族員が協力者となる過程は「協力者となるための役割移行への取り組み」「療養手技を習得しようとする取り組み」「生活の変化に順応し,継続するための取り組み」の順に3段階にカテゴリー化することができた.家族員が協力者として役割を獲得していく過程には,役割葛藤の有無,療養実施の主体が患者か家族かで違いが生じた.第1段階では知識を得るための環境が,第2段階は看護師の指導や助言者の存在が影響要因として重要であった.第3段階は,家族内の役割分担や勢力,生活・患者の状態の安定が役割葛藤の消失に影響し,生活の変化への順応を促していた.不安との共存や療養生活とうまく付き合うための対処が継続要因として観察された.